1212乗鞍冬山合宿(続き)

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12月27日
起床(5:00)出発(7:30)~蚕玉岳手前コル(9:45)待機・引き返し開始(10:40)~帰幕(12:10)撤収(13:45〜14:30)~テント移動完了(16:00)
●天気は晴天(頂上付近は強風)
夜から朝にかけ猛烈に冷えた。この日鈴蘭小屋でー18度だったそうで、1000m近く高い屋根板ではー20度をはるかに下回っただろう。おまけに風もあったから、テントの中でも寒く、足元や頭の上に置いた水はみんな凍っていた。その分よく晴れて穂高も乗鞍の山肌もモルゲンロートに染まる。事前の予報では昨日までは悪天が続き、今日27日が晴れるということで、最初からこの日のアタックを想定していた。その通りになったわけで、勇躍、剣が峰登頂を目指して出発。屋根板に出るとそれほどでもないが、時折強風が吹きつける。肩からの稜線は風が強いだろうと、肩の小屋の手前からトラバースして朝日岳と蚕玉岳のコルへ向かった。しかし、このルートですらかなりの風がふき、固くクラストした急傾斜を進むのに苦労した。途中、金山がアイゼンの緩みに気づかず滑落しかかったが、10mほどでピッケルを用いてストップした。ようやくコルに到達したものの、立つことも難しいほどの強風が吹いており、前進することができない。風陰で1時間ほど様子をみたが状況は変わらなかったため、今日の登頂をあきらめ、朝日岳を越え夏道ルートを肩の小屋に下りた。肩の小屋のかげで昼食後下山。途中田中が落としたストックを探しにみんなで大斜面を歩いたが見つからなかった。そんな中で土井が一人、大学尾根の方に下りて行こうとして泉が追いかけて呼び戻す、という一幕もあった。昼ごろにテントまでもどり休憩。明日から再び気圧の谷が接近するということだったので、今日のうちにテントを下まで降ろすことにした。前日とは変わって45分で撤収を終えた。位ヶ原のバス道のわき、夏道の入り口付近の平地に設営。今回は初日を含めて4回の設営・撤収を繰り返したことになり、冬山生活技術の修得の上では成果があったと言えるだろう。16時の気象通報では予想に反して気圧の谷の接近が遅く、明日は風が落ちて天気ももつかも知れないという予想に変わった。うまくいけばもう一度チャンスがあるということだ。夜はカレー、この日も冷え込む。

12月28日
起床(5:00)—出発(6:50)~肩の小屋(7:50)~剣ヶ峰(8:50)~ピッケルストップ練習~帰幕(10:30)休憩 ザイルワーク練習(12:30〜16:30)
●天気は午前中良好無風、午後は雪
起床し空模様を確認すると、上空にうっすら雲がかかっているが、頂上付近の風は昨日よりも収まっているようである。今日は田中にリーダーを任せ伊東は天幕待機、6人で出発した。肩の小屋から尾根沿いに進み、出発から2ピッチで登頂した。大変なスピードだ、伊東がいたらこうはいかない。雲は点在していたが、北アルプスが十分に見渡せる良い見晴らしであった。10分の滞在の後、御嶽に雲がかかったのを確認して下山した。途中肩の小屋付近の傾斜で泉の要望でピッケルストップの練習を行った。帰幕してしばらくしたら雪が降り始め、どんどん激しくなったが、ここなら全く問題ない。午後はテントのそばの樹林帯でザイルワークの練習を行った。トップが途中に支点を複数作り、セカンド以下はバッチマンをロープにスライドさせて登り、中間支点でクローブ・ヒッチでロープをフィックス、3番がバッチマンで通過した後、4番が中間支点のフィックスを解除、ラストが支点を回収するという5人でのザイルワークを練習。5ピッチ進むのに4時間を要した。練習が必要であると感じた。合宿最後の夜である。夕食後は伊東の呼びかけでV6に全員が集まり、TUSACリードやその他の歌、TUSACの歴史を聴いた。気温高く、やや湿雪、さかんに降る。テントの三分の一ほど埋まるが夜中のラッセルまではいかなかった。

12月29日
起床(5:30)撤収出発(8:00)~黒い沢下(10:10)~ゲレンデトップ(11:05)~すずらん小屋(11:30)—風呂食事—解散(14:10)
●天気は風弱 曇りのち晴れ、気温高い
気温マイナス2、3度と合宿の中では大幅に暖かい朝を迎えた。ものすごい朝焼け、雲海に浅間や八ヶ岳が浮かんでいる。雪はやんだが新雪60cmほど、すべてのトレールが消えた。位ヶ原山荘の六辻さんにあいさつして夏道を下る。下りでも膝までのラッセル、1年生トップで道を探しながら行くが、道型の判断未だし、不安そうに後ろを振り向いてくる。冷泉から黒い沢、鳥居尾根、ゲレンデではワカンを脱いで左端を下ったが下部は圧雪してないので再びワカン装着、鈴蘭高原の一番奥に下り立った。そこからは除雪された車道で、出発から2ピッチで鈴蘭小屋に到着。荷物を整理してから、鈴蘭小屋の温泉につかり、向いのメープルで昼食、全員山賊焼き定食をとった。入山も含めOBの鈴木、岸の差し入れのおかげで全員分賄えた。ご馳走様でした。昼食の最中、泉と塚本は14時10分のバスでそのまま帰郷。津田は田中の車で途中まで行って兵庫姫路へ帰郷。土井、金山は共同装備とともに伊東車で帰京、駒場に寄って装備を返す。中央道は笹子トンネルがこの日の13時に対面通行で開通、下りは年末帰省で渋滞していたが、上りは順調、19時過ぎに駒場に着いた。

1週間の冬山、全体にまずまずの天候で冬山生活技術をはじめ、いろいろな訓練が出来、剣ヶ峰にも登れて皆満足、成功裏に終わった。特に天幕移動が3回、設営4回、撤収4回と数多く経験。強風、低温の経験も、軽度の顔面凍傷が3人、帰ってから足の不調を訴えるのが2人、原因は不明だが、厳しかった寒さのせいかも知れない。
                  (記録 津田)

 乗鞍岳OB隊 記録
                           平成24年(2012)12月
 平均年齢70歳のOBロートル隊、乗鞍へ。内田夫人の角煮、大谷夫人のベーコンを冬山合宿隊に届けるのが使命。スキー、スノーシュー混成部隊の足並みやいかに。
 メンバー:内田博 益崎健二郎 木邨光宏(以上スキー) 岸元士(スノーシュー)

23日(日) 合宿隊は伊東・内田車に分乗して鈴蘭へ。天井崩落の笹子トンネルを迂回、御
 坂トンネル経由となったが、時間は30分増していど。列車組の益崎、木邨が合流。昼食
 後、伊東、田中と現役5人の合宿隊を鳥居尾根リフト上で見送る。大荷物を抱えた新人
 のリフト搭乗が心配だったが、係の人が丁寧にスピード調整してくれた。
24日(月) 鳥居尾根リフトの運転開始が遅く、少し待たされる。雪はガリガリだが、笹は
 埋まっている。前日の合宿隊のトレースを時々ショートカット。摩利支天でバス道と出
 合う頃から、少しずつ雪が増えてきた。黒い沢の丸太橋は渡らず、ピンクのテープを目印
 に直進、バス道へ上がって荒田橋を渡る。まだ藪が多いので、体力のロスを避けてバス
 道を行く。冷泉を過ぎ、最後の大カーブだけ直進、夏道沿いに上がると、針葉樹の間か
 ら、位ケ原山荘が現れた。
  一服していたら伊東が下りてきた。あわてて差し入れを詰め込み、15分ほど上のテン
 ト場へ。針葉樹がダケカンバに変るあたりの台地に、鮮やかな黄色のテント3張り。標
 高2415m。零下18度!寒さがジンジンと迫ってくる。角煮1圈▲ベーコンとハム550g、
  チーズ700g、クリスマス菓子シュトーレンとイチゴ、何とか無事手渡すことができた。
25日(火) 朝は青空だったが、やがて小雪が舞い出す。合宿のテント横を抜けて位ケ原を
 めざしたが、視界不良で撤退。山荘に戻って一休み、今度は鶴ケ沢から大黒岳方面に向
 かう。森林限界が近付くと強風にクラスト、あっさり引き返して山荘で昼飯。休養。
  2時頃、合宿組が山荘にやってきた。大黒岳の稜線近くまで上がったものの強風に阻ま
 れたという。耐風・耐寒訓練には申し分ない天気だ。現役組は次々に山荘のトイレに駆
 け込む。雪の上で尻を出す寒さに耐えかねて、がまんを重ねていたらしい。大きなお椀
 に入ったしるこをたいらげて、足取り軽くテントへ戻っていった。
26日(水) 30cmほど新雪が積もる。振り子沢沿いに冷泉まで下り、200mほどバス道を利用、
 カーブから一気に荒田橋に下りる。夏道とおぼしきあたりから樹林に分け入るが、藪が
 濃い。何とか黒い沢の橋に出た。今度は丸太橋を渡る。鳥居尾根を下ってスキー場に出
 たら強風で全リフト停止中、地吹雪に追いたてられて鈴蘭小屋に帰り着いた。
  スノーシューは、速かった!特に藪では圧勝。スキーはあと1m雪が欲しい。
  
12/24 鳥居尾根リフト上920…摩利支天バス道1035…1440位ケ原山荘
12/25 山荘発810…900位ケ原下 910…935山荘1000…1130大黒尾根2575m…1205山荘
12/26 山荘発815…冷泉855…荒田橋915…黒い沢1020…摩利支天1030…鳥居1110