0208北鎌尾根

 

 

 

参加者   浜野宏明  片岡ひとみ  伊東 毅  

8月10日
東京発(7:32) あさま1号=大宮(7:56)=長野(8:57~9:50) 川中島バス=大町(10:50) 大町名鉄タクシー=高瀬ダム(12:00)~湯俣晴嵐荘(14:50)

木邨が急遽不参加、3名で出発。長野からバスで大町、タクシーで高瀬ダムの堰堤上まで。ここは観光客が大勢来ている。ダムからトンネルと平坦な道、意外に早く湯俣に到着した。小屋の前の河原に天幕がいくつも張られ、のんびりしたところだ。秘湯ブームとかで、ここまで風呂に入りにくる人もいるようだ。晴嵐荘は食事が悪い、ほとんどがインスタントなレトルト食品で味も最低。やらずぶったくりの小屋の典型か。翌日の朝食も6時からで間に合わないので弁当を頼んだが、これも不味かった。

8月11日
湯俣発(5:25)~水俣出合吊橋(5:35)~中東沢手前倒木橋(6:30)~中東沢先倒木(7:06)~吊橋跡(9:05)~渡渉地点(9:24)~千天出合(9:35)~貧乏沢出合(12:45)~北鎌沢出合(13:28)~北鎌沢幕営(13:50)

幕営組の中に北鎌行きのパーティーがあるが、先に出かけた。水俣の吊橋を渡り左岸の踏み跡を行く、悪い道ではない。水量が少なく河原も歩けるので、足袋の浜野さんは河原を中心、あと二人は捲き道中心。中東沢の前後の渡渉点にはちょうど大きな倒木があり、それを使って水に入らずに渡れた。千天出合手前の渡渉点ではひざ上くらい、靴を脱いで靴下で渡った。流石に冷たい。天丈沢に入って道がやや悪くなる、高捲きと藪こぎが続くが、時々雨が降るので気分が良くない。貧乏沢を過ぎて暫くすると伏流となり広い河原に水がなくなる。北鎌沢出合にも水がない、水のあるところまで戻るかと思ったが、北鎌沢を少し登ると水流が現れ、やっとテントひとつ張れそうな場所を見つけたので、そこに張った。他に3人パーティーが左俣出合に、単独の若者が我々の隣に幕営した。水もあり、焚き火も出来て、快適なプラッツだった。

8月12日
北鎌沢出合発(5:25)~北鎌沢のコル(8:15)~天狗の腰掛(9:40)~独標先稜線(12:15)~P?ザイル出す(13:34)~北鎌平先千丈沢側幕営(16:48)

心配した雨も前日夕方だけで、まずまずの天気、北鎌沢をゆっくり登る。最後はお花畑を抜けてコルに着く。ここで別の単独行者に会った。P2から登ってきたという。天狗の腰掛までは這い松などの木の生えた岩稜、前方に独標がガスの中に見え隠れする。小さな岩場を越え、独標の下に到着、この辺は踏み跡もはっきりして縦走路のようだ。独標はトラバース道、ここもはっきりしているが、段々霧が濃くなってくるのと、踏み跡がいくつも現れるので、どれを選ぶかというルートファインディングが難しくなる。独標を捲いて一旦稜線に出てやれやれと思ったが、この先もピークが次々に現われ、登ったり捲いたり、時にザイルを出したり、どんどん時間がかかる。P15と思われるピークを捲き出してからが長く、なかなか北鎌平に出ない。視界がきかないので自位置確認が出来ない。この調子では今日中に槍を越えるのが難しくなってきたので、天幕の張れそうな場所を探しながら進むが、岩が積み重なったところで、なかなか良さそうなところが見つからない。ようやく1.5m四方ほどの平地があったので、石を動かして少し拡張して天幕を張った。天幕の敷地分はなく端の方は宙ぶらりんだが仕方がない。張り終えたとたんに雨が激しく降りだし、タイミングはドンぴしゃりだった。中は膝を曲げて横になれる状態でまあまあ、ビバーク幕営の中間といったところ。ちょっと疲れたのか胃の具合が悪く、食欲が出ないのがつらい。夕食のパスタを少し食べて早めに寝ることにしたが、シュラフカバーだけでは少々寒く、なかなか寝られなかった。

8月13日
出発(6:10)~第一チムニー下(6:35)~第二チムニー上(7:05)~槍ヶ岳頂上(7:35)~槍の肩(8:15~8:50)~槍平(10:40~11:40)~滝谷出合(12:15)~白出出合(13:15)~新穂高(14:50~15:40) バス
=平湯(16:15~17:40) 高速バス=新宿(23:00)

雨は夜半過ぎまで降り、明けても相変わらずの霧で見通しがきかない。昨日の残りのパスタを食べて出発、少し登って行くと、見覚えのあるチムニーが現われた。ようやくこれで大槍の登りにかかっていることが分かった。こことすぐ上のチムニーはザイルを出して登った。ザックを背負ったまま登れるのだから、精々2級程度か。上のチムニーを抜けると頂上の人声が聞こえてきた。登りついたところは頂上の祠のすぐ横、家族連れに3人の写真を撮ってもらった。肩の小屋は木の香がするような新築、3000mのパン屋というのがあって、クロワッサンとホッとミルクが美味しかった。飛騨乗越から下り始めたら青空が広がり、気持ちのいい天気になった。槍平の小屋で濡れた天幕など装備を乾かし、新穂高温泉へ。無料のアルペン浴場に入り、乗合バスで平湯に出て、高速バスで帰京した。
38年ぶりの北鎌尾根だったが何も見えず、残念だった。技術的には問題ない、ルートが長いので中高年にとっては体力の維持、ペース配分が大事になる。アプローチも水量が少なければ湯俣からの方が楽だろう。渓流シューズか足袋があればかなりスピードアップ出来る。泊まり場は北鎌のコルからP15の手前までに点在している。P15から先はほとんどないので、早めの判断が必要だろう。人気ルートということで今回も我々の前後に6パーティーを確認、うち湯俣からは我々を含め3パーティー、他は貧乏沢ルートのようだった。