0409明神岳主稜記録

 


参加者  浜野宏明   木邨光宏   伊東 毅

9月24日
新百合ヶ丘(7:00)=府中本町木邨合流(7:30)=国立府中IC(8:00)長坂BS浜野合流(9:30)=沢渡(11:30)=
上高地(12:05)~岳沢分岐・昼食(12:15~12:36)~No7標識(13:10)~岳沢ヒュッテ(14:40)

最初は23日に出発の予定。天気が悪そうなので1日繰り下げたのだが、どうもパッとしない空模様だ。上高地から遊歩道、岳沢への分岐で昼飯を食って登りにかかる。途中明神Ⅴ峰への分岐になるNo7の標識を確認。岳沢のガラ場の横を登るようになってから雨が降り出す。小雨だが徐々に強くなり、雨具をつけたり、傘をさして歩く。この天気なので岳沢ヒュッテはすいていた。事前に個室を予約していたのだが2畳1間で4000円、4畳半だと8000円だということで、2畳に3人では狭いし8000円は高いし、それに今日は混んでいないのだから予約はキャンセル、相部屋にしてもらった。雨で肌寒いのでビールは敬遠、焼酎のお湯割りをちびちびやって時間を過ごす。夕食はカツの煮込みなど、山小屋の飯はこんなものだが、手抜き料理だと浜野さんは少々ご機嫌ななめ。雨は夜になって激しくなり、この分では明日はこのまま、上高地へUターンかな、とはなはだ意気が上がらない。やることがないので7時過ぎに就寝。

9月25日
起床(4:50) 岳沢ヒュッテ(6:15)~2500m(7:05)~紀美子平(8:50~9:10)~前穂高岳(9:40~10:00)~
奥明神沢コル(10:40)~前衛峰(11:00)~明神岳主峰(11:20)~Ⅰ・Ⅱ峰コル(11:27)~Ⅱ峰(12:53)~Ⅲ峰(13:10)
~Ⅴ峰(13:55~14:15)~岳沢登山道(16:40)~上高地(17:50~18:00)=沢渡(18:30)=梓湖畔の湯=鉄驪荘(21:00)

起きたら雨の音がやんでいる。明るくなるにつれ、周りの山が見え出した。これは行けるかも知れない、朝食は5時30分、小屋泊まりだから支度も簡単、6時15分出発。天気はどんどん回復、奥穂の稜線に日があたる、西穂も乗鞍も見えてきた。重太郎新道の急坂を登って、紀美子平から奥明神沢の源頭をトラバる踏み跡がないかと探したが、よく分からないので前穂まで登り、明神への稜線を下りる。ここで島根から来た2人組に出会う、奥又の池に泊まってA沢を上がってきたようだ。奥明神沢のコルから前衛峰の登りはちょっとした岩登りだが、全く問題なし。岳沢側は晴れているが奥又側からガスが上がり、Ⅰ峰、Ⅱ峰はガスに巻かれている。踏み跡はしっかりしていて、ルートに不安がなく、技術的にも問題ない。やがて核心のⅡ峰の下に到着、流石に切り立っている。残置ザイルがたくさんぶら下がっているが、どこがルートかよく分からない。コル正面かと思うが見たところ岩がおおまかで傾斜もきつく、難しそうだ。左の方にルートがないかと思い、ガレたルンゼを少し下りてみたが浮石だらけ、その上のフェースは傾斜もゆるく登れそうだが、ここも崩落が進んでいるようで浮石が多そう。そんな浮石だらけのところがルートであるはずがない、という木邨の意見に従って元のコルに戻る。そうこうしている間に島根の2人組がコル正面のフェースにとりついて登りだした。彼らはザイルも何も持っていない、残置ザイルにぶら下がるようにして登っていった。落ちたら終わりかと思うが、落ちなきゃいいというわけか、無謀と言うか勇敢と言うか、登攀具なしでこういうルートに来るというのはどうなっているのかと思う。ともあれ彼らが登ったあと、われわれも続く。取り付いてみたら確りしたホールドがあり、見た目ほど難しくない。最初の段を上がったバンドで1ピッチ、そこからバンドを左にトラバって上部フェースに出る。上部は傾斜が落ち、ホールド多くやさしい。これでⅡ峰をクリヤー、あとは問題となるところはないはずで、少なからずホッとする。Ⅲ峰に着くとⅣ峰とⅤ峰の稜線が目の下、奥又側に真っ白なガスがまいて明るい岳沢側と鮮やかなコントラストを見せている。Ⅲ峰の下りは急で高度感があるが、岩が確りしているので問題はない。Ⅴ峰からは下の台地の右に向かって踏み跡がある。それを下っていくと、急な崖の上に出てしまい行き詰るので左に這い松の中をトラバースして、所謂Ⅴ峰台地に出た。ここは二重山稜になっていて気持ちのいいテント場になっている。この先は岳沢に向かって急な一本道、樹林帯に入ると既に紅葉が始まっており、このあたり岳樺とナナカマドの紅葉が美しい。さらに下ると山渓の記事にあるヤセ尾根に出る。アンザイレンの記録もあったが、フィックスもあり、左右に木が生えているのでどうということもない。この先も急な下りが続く、樹林帯は足元が滑るので油断が出来ない。一歩一歩踏ん張りながら下るので膝が疲れる。いいかげん、うんざりする頃、やっとの思いで岳沢の登山道に出た。17時を過ぎたので、もう上高地から沢渡へのバスは終わったかと思ったがバスターミナルに着いたら18時発の最終バスが入ったところだった。バスが走り出したら雨が降り出す、何と言うタイミングの良さ。沢渡の梓湖畔の湯で入浴、長坂町の鉄驪荘に向かう。浜野さんの手作りカレーをご馳走になり一泊、翌朝雨模様の中央道を帰京した。雨と雨の間、まさに奇跡的な晴れ間に恵まれた、ラッキーな山行だった。上高地の目の前の気になっていた明神の峰々を歩けて、また一つ懸案が解消した。なお、このルートは下から上へ逆コースをとった方が良いように思われる。Ⅴ峰の急な下りは登りにした方が良いだろうし、明神の峰々も下から登った方が達成感があるだろうから。