0408北鎌尾根(水俣乗越から天上沢)

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0408北鎌尾根(水俣乗越から天上沢)~1~

参加者  益崎健二郎   内田正明   片岡ひとみ   伊東 毅

8月2日
府中本町駅(6:15)=国立府中IC(6:30)=新島々集合(9:15)=沢渡(9:50)=上高地(10:40)~明神(11:20)~徳沢(12:20)~横尾(13:35)~一ノ俣(14:40)~槍沢ロッジ(15:20)

夏休みで上高地線の渋滞を警戒して、出発を早めたが、中央道も上高地線も順調で予定通り、新島々で内田、片岡も合流。沢渡のアルピコの営業所に車を置いて、タクシーで上高地へ。タクシー代は4600円、バスは一人1000円なので大差ない。出発前、上高地到着の時間によっては横尾止まりになるかも知れないと思い、横尾山荘に問い合わせたら、もう既に予約は満杯だったが、この時間なら槍沢ロッジまで確実に入れる。台風10号崩れの熱低日本海西部にあり、西日本は大雨が続いているが、東日本は太平洋高気圧におおわれ、晴れて暑
い日が続いている。このままの天気が続くことを期待して出発。いい天気で陽射しが強いが、森の中を行くので助かる。今回は7月に大腸ポリープ切除手術のトラブルがあったので体力低下が心配だったが歩き始めてすぐ、太ももに負担を感じ、これはいつもと違うなと思ったが、なんとかがんばるしかない。槍沢ロッジは新しく、飯もまあまあ、トイレも綺麗、風呂もある。衛星テレビの天気予報によると、3日、4日と下り坂、特に4日は傘マークがついている。南海上熱低と太平洋高気圧のせめぎあいでどうなるか、だめなら天上沢から戻ってくるしかない。小屋はやはり混んでいるようで到着したら布団1枚に2人と言われたが、あと客は増えず結果的には2枚に3人で寝ることが出来た。しかし、最近は山に入るとあれこれ考えて寝付かれないことが多く、この夜もほとんど眠れなかった。

8月3日
起床(4:30)槍沢ロッジ(6:20)~大曲(7:25)~水俣乗越(8:38)~天上沢ガラ場~(9:40)間ノ沢合流点(10:48~11:55)~北鎌沢出合(12:15)テント場探し(12:50)

今日は北鎌沢の出合まで行けばいいのでゆっくりなのだが小屋の朝食が5時なので4時半起き。天気は良さそうだ、弁当をもらって出発、ババ平を過ぎ、大曲の手前の沢で一休み水俣乗越への道はしっかりした踏み跡がある。時間に余裕があるのはいい。水俣乗越は表銀座コースなのだが、人が少ない。休んでいる間若いカップル1組だけしか来なかった。ヘルメットをつけて天上沢へ、最初は草付の中に踏み跡がある。傾斜は急だが問題ない。そして急なガラ場へ続くが、今年は全く雪がない。普通なら雪渓になっているはずで、アイゼンも持ってきているのに、これでは使いようがない。それでもガラ場もそれほど不安定ではない。ただいい天気で陽射しが強く日陰のないガラ場は暑くてならない。水のないガラ場が長く続き、間ノ沢の合流点でようやく流れが出たので昼食、ゆっくり味噌汁を作って休んだ。この流れもすぐ伏流になり、間もなく北鎌沢の出合、思ったより早く着いた。北鎌のアプローチとしては貧乏沢より楽でいいのじゃないか。ザックを置いて水場とテント場探し、出合から10分弱下流に行くと本流の流れが現れるが、その上の左岸の山沿いに細い流れが沁み出している。内田氏が流れの底を深く掘って水場として使えるように工作。テント場はいくつかあるが、木立の中の平らなプラッツを選択、ほぼまっ平らの砂地で焚き火用の焚き木はそこら中に転がっている、という快適なテント場だ。時間があるのでのんびりしていると、湯俣の方から2パーティーやって来て下の方にテントを張っていた。天気は夕方雲が多くなり小雨がぱらつくようになったがたいしたことはない。夕食は乾燥野菜のカレー、ご飯は無洗米4合、夜・朝に昼のおにぎりもと思ったが、昼までは回らなかった。今夜はしっかり眠りたかったので睡眠導入剤を飲んだが、やっぱり十分には眠れなかったようだ。

8月4日
起床(4:00)北鎌沢出合(6:00)~二俣(6:24)~水補給(6:35)~北鎌のコル(9:02~9:15)~天狗の腰掛(10:15~10:50)~独標のコル(11:30~11:50)~独標(13:25~14:05)~P12(?)先コル(14:40)~P14トラバース終了(17:00)~P15千丈沢側幕営(18:30)

起きたらいい天気、どうやら太平洋高気圧の力が勝ったようだ。朝食におじやを食べて出発、他のパーティーも先に出発して行った。北鎌沢に入るとすぐ水流が現れる、本流の感じでは今年は水が少ないので北鎌沢の下部には水がないと思ったのだがこれなら出合に張っても良かった。二俣を過ぎて間もなく水が消え、しばらくしてまた現れる。まだ上にもあると思ったがここで水を補給、共用2リットル+個人用1.5~2リットルを持つ。この水流はいったん消えるが、その上でもう一度現れ、岩小屋のすぐ下で消える。ここまでは例年間違いなくあるようだ。去年のように水の多い年はこの上でもとれる。北鎌のコルまで2時間半、まずまず順調、コルのテント場は思ったより広く、4~5人天が楽々張れる。天狗の腰掛まで約1時間、さらに独標のコルまで1ピッチ、天気は上々、逆にちょっと暑くなってきた。独標のコルでザイルをとり出し、ゼルプストをつける。独標のトラバースはザイルは使わず、例の残置のあるチムニーでアンザイレン。伊東はチムニーを、他の3人は左のフェースを登った。チムニーの上からさらにトラバース道が続くが、独標へはここから傾斜のゆるいスラブ状の岩場を直上する。チムニーをラストで登った内田氏にそのままトップで行ってもらう。20mちょっとで這松帯に入り、そこから上はさらに傾斜が落ちザイルは不要になった。そのまま登ったところが独標、3年目にしてようやく到達した。実は数メートル戻ったとなりが本当の独標のピークだが、ほとんど変わらないのでここも独標と言っていいだろう。天気はほぼ快晴、周りの山が全て見える、とりわけ槍へ続く稜線がすごい。大小の岩峰が次々に重なり、まだまだ槍までは遠く大変だ。これまでこういう景色は見られなかったので感激する。ここで昼食にしたが、このへんから暑さも加わって胃の具合が悪くなり、ほとんど物が食べられなくなった。のどが渇いて水分だけを欲する状態でウィダーだけが喉を通る。まだ先は長いのでちょっと辛いことになった。独標からの稜線も踏み跡があり、一つ岩峰を越えたところでトラバース道から登ってくるガリーの上を通過した。しばらく見覚えのあるところを行くが、このあたりいくつもピークがあるのでどれがP11か12かよく分からない。P12の先のコルとおぼしきところで休憩後、浮石の多いもろい岩のピークでザイルを使う。内田氏トップで行き、伊東が登る時、ザイルで浮石を払ったらしく、こぶし大の落石が伊東の顔面を直撃した。幸い落下距離が短かったので衝撃は小さく、ちょっとした打撲程度ですんだ。このピークがP13なのか、やはり不明だが、この先にP14の鋭い岩峰とP15の大きなかたまりが続いており、北鎌平まではまだまだ遠い。P14は稜線通し行くと懸垂しなければならないので、ここからは千丈沢側のトラバース道をとる。アップダウンは少ないが、こちらもザレザレのガレ場やきわどい岩場が出てきて余り楽ではない。このあたり、エネルギーが切れて疲労がどんどん加速されてくる。足に力が入らず、バランスが悪い。ちょっとした岩角のトラバースで、立って岩角を回り込むことが出来ず、バンドを四つんばいになって通過したりした。普段ならなんでもないところだが、身体を外に反り返るところで背筋と腹筋が持たないと感じたので窮余の策だった。このあたりは一昨年通ったルート、千丈沢側をどんどん捲いて行く。そろそろP15を捲き終わるくらいまで来たが、北鎌平がどこだか分からない。時間も18時近くなってきて伊東と内田がトラバースを続けて行く一方、益崎と片岡が稜線に登って北鎌平を探すと言う。ルートを探すのは本来自分の役目であり、この状況でパーティーを分けるのはリスクが大きいのだが、バテて気が弱くなっていたこともあってNOと言えず、そのまま行かせてしまった。そのうちトラバースの途中で格好のテント場を発見したので、時間的にもここに張ることにして上の2人を呼んだのだが、ちょっとやばそうな草付とガレを下りて来たので、見ていて冷や冷やした。これはリーダーとしての自分のミスだった。このテント場はちょっとした尾根の上の平地、きれいに均されていて4~5人天が十分張れる。この高度で風があるのでさすがに寒い、ゴアの雨具をつけて外で食事にした。メニューはマーボー春雨だが、相変わらず食欲がなく、一人だけおじやを作った。スープやミルクティーなど水分の多いものだけが喉を通る。夜強風が吹いたが、気温は高く、シュラフから出たり入ったりしていた。