0608黒部源流薬師沢~赤木沢

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0608黒部源流薬師沢~赤木沢

参加者  浜野宏明   木邨光宏   益崎健二郎   伊東 毅

8月10日 鉄驪荘泊

8月11日
鉄驪荘発(9:30)-長坂駅木邨合流(9:35)=長坂IC(9:50)=塩尻北IC(11:00)= 山形村・買い物=折立(15:30) 幕営

益崎、伊東は前日鉄驪荘泊、JRで来る木邨を長坂駅で迎えて出発。いつも通り山形村のスーパーで買い物、安房峠を越え、高原川沿いの471号線を新平湯、栃尾経由神岡方面、双六渓谷沿いに山へ入り、山吹峠を越えて山ノ村から飛越トンネルを抜けると有峰林道(有料1800円)山腹をうねうねと有峰湖畔へ。この途中で熊を目撃、車の前方30mほどの道路から脇のブッシュに入って行った。体長1m足らず、まだ子どものような大きさだったが、全身真っ黒だった。湖を3分の2周、ようやく折立に到着。長坂から約5時間、さすがに遠い。折立のキャンプ場は芝生のグラウンド、水場もトイレも完備、使用料なし、林道の1800円に含まれているということかな。到着が3時過ぎでまだ暑い、わずかな日陰を探してテントを張った。夕食はスパゲティ、サラダとベーコン焼き、ビールにワイン。

8月12日
起床(4:00) 出発(6:00)~1870m三角点(7:40)~太郎平小屋(10:30~10:50)~2450m付近雷待ち(11:45~12:40)~北ノ俣岳(13:50)~赤木岳手前コル(14:12~14:25)~薬師沢左俣源流(14:50)(幕営

朝は上天気、樹林帯では暑い。まず太郎兵衛まで1000mの登り、浜野さんは今回ダブルストックを採用、その効果でいいピッチ。1900m付近から草地の高原になり、前方に薬師を望む。キスゲが咲いてアキノキリンソウ、キンコウカ、イワショウブ(木邨調べ)などが目を楽しませる。太郎兵衛まで傾斜はないが距離は長い。タイム通り4時間半、小屋で缶ビールを購入、上ノ岳に向かう。上空に寒気が入っているそうで、出発して間もなく黒い雲が広がり、雷が鳴り始める。そして雨も降り出した。この辺は草原地帯で身を隠す場所が余りないので、激しくなると問題だ。そう思っていたら段々雷が近くなってきて、ちょっとやばくなってきたので上ノ岳の登り2450m付近で道脇に掘れた溝に退避した。ちょうどピークで稲光からゴロゴロまで最短で5~6秒くらいか、が、上空の雲の中で放電しているようで、結局地上には落ちなかったようだ。こんな中でも何人か歩いているパーティーがいた。結果的に大丈夫だったとは言え、度胸のいいのに感心した。小一時間でおさまり、雨も上がってきたので出発、上ノ岳の前後はハクサンイチゲを中心としたお花畑、気持ちが浮き立つようないいところだ。学生時代以来だが昔はここの雪田の横にテントを張ったのだから隔世の感。左手に薬師沢左俣の源流、ゆるやかな赤木平が見える。赤木岳の手前のコルまで行って、最初、雪田の縁を下り、細い沢を下りていくとだんだん傾斜が緩くなり、お花畑の中を小川が蛇行する源流帯に達した。このあたりは稜線の登山道から見通せるところだが、背の高い這い松のかげになるところを探して今日明日の泊まり場を定める。幅2mほどの清流の脇の台地、平らなところはなべてお花畑だが、多少笹混じりの部分を選んでテントを張ることにした。今回の山行の目的地のひとつがこの薬師沢源流、去年の横尾本谷に続いてこういうところを探している。さすがに焚き火は出来ないが最高の泊まり場だ。明るいうちに夕食、流れに冷やしたビールがうまい。メニューは定番のマーボー春雨。薄暗くなり、登山道に人影がなくなるのを見届けてテントを張った。夜は月が出て星が輝く。

8月13日
起床(4:05) 出発(6:55)~薬師沢2315m~二俣(7:25)~大滝(7:30)~魚止滝下(8:45)~登山道(9:55~10:10)~
カベッケヶ原(10:50)~薬師沢小屋(11:05)~本流昼食(11:30~12:30)~赤木沢出合(13:25~13:50)~
ウマ沢出合(14:03)~インゼル3m滝上(14:50~15:05)~大滝下(15:25)~大滝上(15:40)~二俣(15:44)~
最後の二俣(16:34)~赤木平(夕立)~薬師沢源流(16:55) 幕営

朝、上々の天気、天幕を撤収、要らない物はスタッフバッグなどに入れて這い松の下にデポした。今日は薬師沢左俣下降~黒部本流~赤木沢遡行の周回コース。薬師沢に3時間、黒部2時間、赤木沢3時間の実働8時間、薬師沢下降の3時間がめど。しばらく源流のやさしい流れ、左にカーブして大岩が増えてきて、左から沢が入るとすぐ大滝多段70mが現れる。傾斜があり簡単に下る。さらに幅広8m、トヨナメ8mとか6mとか滝が続くがどれもやさしい。そのうち谷筋に残雪のブロックが現れる。この沢で残雪の記録は見たことがないので今年の豪雪の名残だろうか。こういう残雪は通常、傾斜がゆるく通りやすいところをふさいで残っていることが多く、おまけにズタズタに切れているので、難しくなるかと思ったが、なんとかすり抜けることが出来た。そして魚止めの滝、落ち口に立った先頭の木邨が×の合図、垂直に10mほど落ちて下は幅4~5m長さ15mほどのゴルジュのプールになっている。なるほどこれは下りられない、へつりも両岸垂直で一見して無理。左岸の壁の上が捲けそうなのでブッシュに入る。なんとなく踏み跡っぽい、人の通った感じがする藪をトラバって行くと前方に左から入るルンゼが見えてくる。あそこまで行けば下りられるだろうと思ったら、その前にその合流点に向かって下りるルートがあった。下から見ても丁度箱のようなゴルジュで渕を泳がないと滝の下まで行けない。この後さらに幾つか滝があったが核心部はほぼ終わり、やがて平凡な河原になった。そして登山道の橋までちょうど3時間で到着、まずは順調なので、このまま本流から赤木沢を目指すことに決定。ここからは沢沿いに本流まで下りていくのもあるが、登山道の方が早いだろうとカベッケヶ原経由薬師沢小屋へ向かう。本流へは吊橋を渡らず、小屋のベランダの隅から階段で本流左岸の河原に下りるのだが、ここでは黒部に入る登山者に谷の中で幕営しないように警告するなどと聞いていたので、黙ってそそくさと通過、とりあえず小屋が見えないところまで行って小休止した。ところで今回3人は沢靴だったが浜野さんだけ地下足袋にわらじ、このわらじが擦り切れてきて大事なつま先に近い部分の藁がなくなってきてしまった。最近のわらじは作りが雑なのか、藁そのものが弱いのか、それとも登りは良くても今回のような下りではもたないのか。いずれにせよ、このままでは困るので浜野さんの高級タオルを裂いて紐を作り、わらじが分解しないように補強する。なんとか持ってくれることを期待するしかない。わらじの場合はスペアが必要だな。本流は水量が少なめで腰上のへつりというところも腰下まで、渡渉もたしか4回くらい、高捲きもなく概ね順調に通過、赤木沢出合まで1時間ちょっとだった。赤木沢に入ると岩の色が赤く変わる。そして滝、ナメが連続して現れるが、どれも簡単に登れる。まず2段15mの傾斜のある滝、次に気持ちのいいナメに足を洗われながら登ると右岸からウマ沢、さらに多段の滝、周りが草付き帯になり沢の中でも明るく、ちょっと暑いくらい。丁度行程の真ん中あたり、3mインゼル状の小滝上左岸から小沢が入るところで休憩。どんどん登っていけるので滝のひとつひとつを覚えていないのだが、一ヶ所釜を持った滝に取り付くところでほんの2mほどだが臍上まで浸かるところがあり、ついにパンツまで濡れた。浜野さんは足が立たないとかで、泳いで渡る。そして大滝2段35m、ここは左岸、ルンゼ状を登り草付からブッシュへの踏み跡を辿って捲く。大滝を過ぎると間もなく二俣2225m、ここは右に入る。この上は水量が減るがさらに滝が続く、どんどん登っていくともう一つ奥の二俣、ここも右に入る。この二俣だったと思うが天幕が2張り、しっかり張っているパーティーがいる。でもこんな、下から登ってくればいやでも目に入るところに張らなくても、と思ったが、まどっちもどっちかな。そしてその上に別の3人パーティーが現れて、どうやらルートが分からないらしい。こちらに聞いてきたが、こっちに来てもらっても困るので「こっちは違いますよ、左に登ってください」と追い払った。そうこうするうちにいよいよ源頭、お花畑の中の細流になり、いやでもお花畑の中を歩かねばならない。ところがここで雲行きが怪しくなり、急な夕立になってしまった。赤木平のゆるやかな草原、いくつもの池塘を囲むお花畑、晴れていれば気持ちのいいところなのに、激しい雨に叩かれてそれどころではない。大急ぎで赤木平を横断し薬師沢に下りる、雨でちょっと迷ったがすぐ幕営地を発見した。沢で濡れた上に雨で下着まで濡れてしまい寒くなったのでダウンのインナーの上下に着替えて凌いだ。やがて雨も上がり、夕食は今日も外でメニューはカレーライス。ところがアルコールが乏しい、木邨のブランデー水筒に半分のみ、折角の薬師沢~赤木沢完走の祝杯も少々淋しいことになった。

8月14日
起床(4:00) 撤収・出発(8:00)~稜線下(8:40~9:05)~太郎平小屋(11:10~11:50)~折立下山(15:18)=山の村食堂
=新平湯たるまの湯=鉄驪荘(21:20)

今日も朝は晴れ、朝食後、朝日の中で濡れ物を干す。そのため撤収はゆっくり、まず赤木岳のコル目指して登る、細い流れからやがてお花畑を通って縦走路に出、一昨日の道を逆戻り。いい天気でのんびり、上ノ岳のお花畑を愛でながらゆるゆると下りていく。太郎の小屋でビールを買って、祝杯。折立までの長い下り、上は爽やかだったが下は猛暑が待っていた。今日はお盆、テント場はファミリーキャンプで賑わい、駐車場は満杯、道路脇もトンネルまで車で埋まっていた。帰路も長い、途中山ノ村の道の駅のような食堂に寄っておろしそば、辛み大根がうまかった。サービス券をもらって新平湯の健康ランドたるまの湯、ここは前に来たことがある。双六スキーの帰りだったかな。あとは鉄驪荘まで、折立から200km、正味5時間しっかり、少々疲れた。でも行きたかった赤木沢、薬師沢、目標を達成して満足の山行だった。

8月15日 帰京

追記 浜野さんのわらじは最後まで分解することなく辛うじてもったが、残ったのは補強したタオル生地の骨組みだけ、肝心の藁がすり切れて地下足袋のゴム底がむきだしになってしまったため、フリクションが効かず、苦労していた。もうわらじの時代ではないということか。
登攀具として30mザイルなど持っていったが、結局使わなかった。行動スピードを落としたくなかったこともあるが、特に不安を感じるようなところもなく、使うべきところもなかった。ザイルを出すようではこのルートの完走は無理かも知れない。