1004焼山北面台地

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1004焼山北面台地

参加者  木邨充宏  伊東 毅

4月25日 矢野口駅(7:00)=調布IC=能生IC(11:30)昼食=笹倉温泉先湯川内キャンプ場下(12:30~13:10)~林道九十九折(14:10~14:25)~アマナ平(16:00)幕営

大型連休前の残雪の山、今年は木邨と二人だけになったので相談の結果、懸案だった焼山北面台地に行くことにした。標高2400mの焼山から500mの笹倉温泉まで1900mと、日本有数の高度差を持つ大斜面として近年人気が高まっている。ネットの記録を見ると前夜笹倉温泉に入って車中仮眠、翌朝早く出て1日で焼山の頂上を往復、そのまま帰るというケースがほとんどだが、60代後半になったわれわれには1900mワンデイはきついと考え、初日標高1000mのアマナ平にベースを置いて、翌日焼山往復に1日、3日目余裕があれば高松山に登って下山の2泊3日予備1日という計画を立てた。25日は日曜で高速1000円、調布で乗って圏央道、関越、上信越道北陸道の能生ICへ、快晴で山がよく見える。能生で昼食と思ったが小さな町で食堂が見当たらない、辛うじて小さなすし屋を見つけ、ちらし寿司。昼時だったが他に客なし、人のよさそうな親父が地の魚で作ってくれる。どろえびという小さなえびの味噌汁つきで1700円、味はよかった。笹倉温泉の手前に焼山温泉がある。両方とも、変哲もない田園の中にコンクリの建物で、とてもひなびた温泉宿とは言えないが、焼山温泉の方が比較的安く、1泊1万円弱からだそうだ。笹倉温泉の先に湯川内キャンプ場というのがあって、そこの駐車場まで行こうとしたが雪が残っていて通れず、その下の路側に駐車、支度して出発。今回、幕営山行用に新調した70リットルのザック、天幕に鍋・コンロ、マット、シュラフ、アイゼン、防寒具など入れると丁度満杯になった。重さは20kg弱かと思う。キャンプ場から橋を渡るとその先の林道は雪に覆われているので、すぐスキーを履いた。上からスキーヤーが続々下りてくる。今日は日曜で天気がいいから大勢登っているようだ。九十九折りの林道を時々ショートカットしながら登っていく、天気がよくて暑い。1ピッチあまり登ると傾斜が緩みトラバース気味になるが、このあたり地形が複雑でゆるやかな起伏の中に沢やくぼ地などがあってルートが難しい。シュプールがあることはあるがGPSが役に立つ。約3ピッチ、前方が大きく開け、アマナ平に到着。前方に焼山、火打が見え平らな雪原が広がって気持ちのいいところだ。早速天幕を設営、風で飛ばされないように張り綱の1本を潅木に結びつけ、木の枝をペグ代わりに雪に埋め込む。テントを張った雪原から一段下がったところに川があり、流れが出ている。小さな堰堤に階段が付けられているのでそこから流れに下りることが出来る。雪の山で水を汲めるという恵まれた条件、快適な泊まり場だ。3~4人天に2人、まずは乾杯、今回はドライ・ジンのポケット瓶、小ペットボトルに白ワイン、プラスチック水筒半分のブランデー。今日はドライ・ジン、雪を入れて冷やしたらなかなかいける。エッセンは木邨担当、リッツにんにくチーズ、キムチ納豆巾着、焼き豚などがつまみ、メインはとろろ昆布と餅の熱々スープ。なかなかユニークなメニューで少々手間がかかるが味はまずまず。夜は上弦の月が明るい。


4月26日 起床(4:30)出発(6:50)~北面台地(7:30~7:45)~1550m大曲下(8:40~8:50)~1800mカンバの木(9:35~10:00)~2030mアイゼン装着(10:30~11:00)~2230mルンゼ・昼食(11:50~12:20)~火口壁稜線(12:45)~焼山頂上(13:00~13:15)~火口壁稜線スキー装着(13:30)~帰幕(15:00)

4時起床の予定だったが30分寝過ごした。朝食はスパゲティと乾燥野菜スープ、ちょっともたもたして出発は7時前。今日もいい天気だが若干ヘイズがかかり昨日ほど鮮明に見えない。朝は冷え込んで雪が硬いのでクトーをつける。やや急な斜面を登って北面台地へ、ここも地形が複雑でルート選びが難しい。北面台地に出ると正面に焼山、火打がどーんと姿を現し、ゆるやかな大斜面がつながっている。なるほどすばらしいところだ。標高は1250m、頂上まではまだ1150mもある。ここでクトーを外し、通常のシール登行に戻る。この台地は焼山の溶岩流で左右に深い溝が何本も走っていて、頂上に達するには右手の溝をうまく越えなければならない。どこで越えられるか、記録の中には溝を越えられず、正面の急なルンゼを登ったケースもあるので、ルートの選定は慎重を要する。地図の大曲を過ぎると段々傾斜がきつくなる。最初の溝はその上で消えてなくなっていたのでそのまま進むことが出来たが、次の溝は深く続いているのでとても越えられない。溝に沿ってどんどん登って最後大きな岩の下でようやくまばらなブッシュをかき分けて越えることが出来た。ここからはさらに傾斜を増した斜面を右にトラバース気味に登って行く。滑ったら止まらない傾斜だが、雪が軟らかいので助かる。トラバースを終えたところ、約2030mでこれ以上は厳しいと判断、アイゼンに切り替える。スキーをデポすることも考えたが、この傾斜、雪の軟らかさなら滑ることは出来るので帰りのために担いで行く。アイゼンは今回新調したグリベルのアルミアイゼン、氷壁はだめだということだがこういうところでは軽くていい。やがて下から見当をつけていたルンゼに入る。両側は黒い岩で少し狭いが帰りに滑れないことはない、傾斜もそれほどきつくならず、ほんのわずかでルンゼを抜け、再び広い斜面に出た。これで頂上への見通しがついたので、一息入れて昼飯にした。この上は100mほどの登りで古い火口と思われるくぼ地の縁に出るので、このくぼ地を回りこんで対岸、火口壁の斜面を登ると頂上稜線の一角に出た。ここで初めて稜線の向こう側、笹ヶ峰ダム湖をはさんで高妻、乙妻や飯綱、戸隠などの山が見える。頂上まではわずかだが稜線には雪がないのでスキーとザックをデポ、アイゼンも脱いでカメラだけ持って登る。頂上には標識はなく三角点の標石のみ、東側からは白い噴煙がもくもく上がっている。活動中の火口を覗くことはできなかったが、煙の向こうには火打が大きく、北面から登るルートがよく見える。ふりかえって西側には金山、天狗原山が真っ白な山なみを見せ、北アルプスも見えるのだが今日はかすんではっきりしない。昨日は日曜日で30人くらい登っていたようだが、今日は我々2人だけ、静かな頂きを独占して、いい気分だ。頂上にいたのは15分ほど、デポに戻り、スキーをつけていよいよ滑降開始。最初の斜面はやや急だ、30度以上あるだろうか、転倒は許されないのでまず斜滑降、横滑り、さらにボーゲンだが、最初急すぎてボーゲンの谷回りが出来ないのでジャンプターンで方向を変えるところもあった。まさにエイヤッである。雪が軟らかいのでなんとかなるが、これが硬かったら大変だった。せまいルンゼも横滑りで通過、いよいよ大斜面に出るが、ここからも転倒禁止、ボーゲンの連続。大きな溝の最上部を越え、少し下りるとようやく斜度が落ちてきたのでシュテムから抱え込みターンなどの余裕が出来る。北面台地は長い、途中でひと息入れ、写真を撮りながら下っていく。丁度いい傾斜で下の方は立っているだけで進んでいく。最後の急斜面も問題なく、午後3時ちょうどアマナ平のベースに戻った。下りは1時間20分、やっぱりスキーは早い。登りは7時間、休みを除いて5時間20分、よくがんばったと思うが結構かかった。1400mの高度差は我々にはいっぱいっぱいの感じがする。今晩用の水を汲んで夕食準備、まずはワインで乾杯、続いて今日はブランデー、夕食のメニューは高野豆腐のシイタケあんかけ、卵雑炊など、アルファ米2人分は多すぎたので雑炊の残りは明日の朝用に回す。天気はようやく下り坂、月に雲がかかって朧月夜になった。

4月27日 起床(4:30)撤収出発(7:00)~湯川内キャンプ場(7:40)=能生IC=諏訪湖SA=調布IC=矢野口駅解散・帰宅

予定ではもう1日、高松山の北東尾根に登って、それから帰るということだったが、天気は下り坂、南風が強くなって、いつまでもつかという感じ、それに昨日焼山に登って満足したので衆議一決、早々に撤収、下山とする。テントも乾いていてパッキングも楽だ、雨の中の撤収なんて最悪だからな。アマナ平から下の複雑な地形もGPSの軌跡のおかげで迷うことなく、湯川内のキャンプ場まで40分で下りた。それにしてもちょっと早すぎる、焼山温泉で日帰り入浴を聞いてみたが9時からだということなので、あきらめて帰りの高速途中の諏訪湖SAの温泉に入ることにして、9時前能生ICから北陸道へ。平日なので1000円にはならないが、この時間なら通勤割引でわずかだが安くなる。新潟県から長野県に入るあたりまではいい天気だったが、更埴JCから長野道に入ったころからぽつぽつやってきた。まだ昼前、さっさと撤収して正解だった。長野はまだ桜が残り、桃の花も咲いて新緑がきれいだった。諏訪湖SAの風呂は初めて入った、こじんまりしているがまずまず、湯がちょっと熱かった。初めて行った焼山北面台地、一発で焼山に登れてラッキーだった。アマナ平も北面台地もいいところで、火打北面のルートもあるが、ルートが長く厳しいので足のそろったパーティーでないと大変だ。