1407 針ノ木~船窪~烏帽子縦走

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1407 針ノ木~船窪~烏帽子縦走

参加者  木邨光宏  益崎健二郎   伊東 毅

7月20日 矢野口(6:00)=あずみ野IC=扇沢P(9:00~10:00)~大沢小屋(11:30)~1820m付近雪渓入口(12:00~12:30)~蓮華沢水場(13:50~14:00)~針ノ木小屋(14:45)

北アルプス主脈の西穂~日本海のうち、針ノ木と南沢乗越の間が未トレースの空白区間、これまで何度か計画したが、今年ようやく実現。特に船窪・烏帽子間はアップダウンが多い長丁場で体力的に厳しいので全区間小屋泊まり、軽量化を図って臨んだ。
当初鉄驪荘に一泊して出かける予定だったが、浜野さんが大動脈解離で入院、矢野口早朝発となった。海の日連休の中日で高速は車が多いが特に渋滞なく安曇野ICから扇沢へ。ところが扇沢入口でいつもの駐車場が満杯、さらに下の臨時スペース(旧アルペンホテル跡)に誘導された。歩いて数分の距離だが、さすが連休、観光客が続々と扇沢のトロリー乗り場へ向かっていく。天気は前日まで雨続きだったが、今日はなんとか曇り時々晴れ、午後にわか雨の予報。扇沢のターミナルの左側から山道に入り、鳴沢手前で1ピッチ、大沢小屋は通過して針ノ木雪渓に下りる手前で昼食。上から続々人が下りて来る、みんなアイゼンを着けている。われわれも雪渓に入ってすぐ軽アイゼンを着ける、今回は4本爪、前に御坂山塊で拾ったやつ、傾斜は緩いしスプーンカットの凸凹もあるのでなくてもいいが、あれば少し楽、という程度。ところが1ピッチ、のどを過ぎたところで片足のアイゼンがなくなっているのに気づく。どこで外れたか分からない、つまりあってもなくても変わらないということだ。次の大岩、蓮華沢の出合に水が出ていたので、そこでプラチパス2リットル、水筒、ペットボトルに水をつめた。稜線の小屋は水が有料だから、少しでも担ぎ上げたい。そこから1ピッチ、案外簡単に峠に到着、ひと休みして小屋の受付、3食付きで1万100円、水1リットルまで無料。昨日は多かったそうだが、今日は比較的すいている。4人分のスペースに3人だから余裕がある。食堂で生ビール1000円、焼酎、ジン、ウイスキーなどで時間を過ごす。夕食は2回戦、メニューは特に記憶なし。枕が極端に小さくて寝にくい、夜強い雨が降った。

7月21日 針ノ木小屋(6:30)~蓮華西P(7:30~8:00)~北葛乗越(9:15~9:35)~北葛岳手前(10:25~10:45)~七倉乗越・昼食(11:30~12:00)~七倉岳(13:10)~船窪小屋(13:25)

 朝は良く晴れた、手前の船窪の稜線が低いので槍や穂高の方まで見渡せる。餓鬼、唐沢岳も近い、赤牛から水晶、鷲羽の稜線も朝日に映える。朝食は5時半、6時半に出発。蓮華の登り、最初少し急だが、すぐなるくなって砂礫地にコマクサが点在、どんどん増えて一面に咲いている。乗鞍の高天原ほどではないが、なかなか見事だ。1ピッチで頂上西側のピーク、小さな祠がある。針ノ木岳の右に剣・立山鹿島槍の左に白馬まで見える。西から南は峠からも見えたが薬師から裏銀座、槍穂、表銀座まで、東側は雲が広がって何も見えない。頂上を通過して蓮華の大下り、北葛乗越まで524m、最初はコマクサの咲く斜面を下りて行くが、だんだん急になり、岩場になって、最後は長い鎖場になった。途中休めず、乗越まで一気に下りたが、なかなかの下りで今回のコースで一番の悪場だったかも知れない。北葛岳までは276mの登り、針ノ木谷を見下ろしながら、いい天気だが風が涼しい。頂上直下でひと休み、頂上は通過、次は七倉乗越まで235mの下り、木陰で休んで昼食、お湯を沸かしてみそ汁を作った。この辺の稜線はシナノキンバイ、キンポウゲ、ハクサンチドリ、ヨツバシオガマコイワカガミツガザクラなど、ありふれたとは言え、高山の花が目を慰める。七倉岳が今日最後の頂上、南に少し下ると右水場、キャンプ場、左船窪小屋の分岐点、このあたり古い地形図とは道が少し違っている。小屋はさらに尾根を下った先、鐘を鳴らして迎えてくれた。小屋の前のテラスに荷を下ろすと、感じのいい女の人がお茶を出して、はき替え用のサンダルも出してくれる。なるほど、こういうおもてなしの小屋なのだ。船窪小屋のことは本やテレビで紹介されたり、ネットにもいろいろ載っているのでいちいち書くのもどうかと思うが、一応感じたままに記す。小屋はこじんまりとして、入口入ると左厨房、右に囲炉裏のある畳の部屋、その先に寝室、両側に蚕棚、さらにその先にもう一つ寝室、同じように両側蚕棚。我々は奥の部屋、4~5人用スペースに3人、今日もゆったりだ。トイレは別棟、基本和式だが腰掛便座付き、2つだけなので順番待ちかと思ったが、お客が少なかったので、それほどでもなかった。3食付き1万200円、水は1リットル200円、ビールは350mlが600円、外のテラスで一杯、続いて焼酎お湯割り、ジン、ウイスキー。夕食は囲炉裏の部屋で、山菜・野菜のてんぷら、蕗味噌豆腐、生春巻き、赤米ごはん、その他いっぱいの豪華版たがよく覚えていないのが残念。この夕食もこの小屋の売り物、小屋主のおばあちゃんががんばっているようだ。食後6時半から泊り客全員が囲炉裏の周りに集まってお茶会、ネパール茶を飲みながら、それぞれ自己紹介、大阪のおばちゃんグループや山好き両親と娘、なにやらベテラン風のおじさん、明日は野口五郎まで行くと言う元気な人など、小屋の側では司会をしたおにいさん、感じのいい女の人、小屋主のおじいさん、おばあちゃん、それにボランティアみちしるべの会のおじさん、など大勢で自己紹介だけで時間が過ぎてしまった。この小屋は小さいながら、このアットホームな雰囲気、おばあちゃんの人柄などに惹かれてリピーターが多く、みちしるべの会のボランティアが登山道整備や小屋の手伝いを担って、小屋の経営を支えているのだそうだ。われわれ一夜限りの客にとっても、なかなか感じのいい、好ましい小屋だった。

7月22日 船窪小屋(5:45)~船窪乗越(6:25~6:40)~船窪岳(6:50)~船窪記矯把礇灰(7:25~7:35)~船窪(8:20~8:35)~不動沢のコル先(9:25~9:45)~不動登り(10:30~10:45)~不動岳(11:25~11:50)~南沢乗越(12:30~12:45)~南沢岳(13:35~13:55)~烏帽子小屋(15:37)

 今日もまたいい天気、どうやら梅雨も明けたようだ。今日の行程は特にアップダウンが多く距離も長い、コースタイムで8時間20分、ロートル係数をかければ9時間から10時間。特に長くなるとどんどんピッチが落ちるのが問題だ。朝食は5時、5時45分に出発、鐘を鳴らして見送ってくれる。まず船窪乗越へ下り330m、道はいい、同じく烏帽子へ向かう3人組と前後して歩く。地図にある船窪岳は標高2300mくらい、樹林におおわれたちっぽけなピーク、そこから90mほど下りて250m登ったところが船窪第2ピーク、標高2459m、この辺は左側が不動沢の崩壊地で急な白いガレが続いているが、右側は樹林帯で、道はこの樹林帯につけられているので悪くない。シラビソなどの針葉樹と広葉樹が交じった林で奥秩父や北八ツのような感じだ。陽射しも遮られ、涼しい風も吹くので助かる。船窪第2から200mほど下って、30m登って70m下ったところが不動沢のコル(仮称)そこからもアップダウンが続き、275m登って不動岳頂上で昼食。不動の下りは沢のようなところを真っ直ぐ下りていて余りよくない。約200m下って南沢乗越は樹林の中、南沢には残雪が見える。大学2年の夏山でこの南沢を下りて途中に天幕を張って、平に出たのだが、薮が濃く、こんなところを下りたのかと、50年以上昔の記憶は戻ってこない。ともかく、これでわが足跡がつながったと、若干の感慨を催しながら次の南沢岳に向かう。約200m登って南沢岳は花崗岩の砂礫の明るい広い頂上、烏帽子小屋から散歩に来た登山者で賑わっている。船窪小屋からの3人組はずっと遅れて姿も見えず、静かな山道を歩いてきたので、急なにぎわいに少々戸惑う。頂上にはなかったが、烏帽子に向かう斜面のあちこちにコマクサが咲いている。高山植物の女王も近年あちこちで増えているようで、有り難味が薄れてきたような気がする。ともあれ南沢まで来れば後は散歩道だと思ったのだが、ここから烏帽子の小屋までが長かった。烏帽子田圃池塘群をめぐり、烏帽子の岩峰の横を通り、にせ烏帽子を越えて、たっぷり2ピッチかかった。南沢までは気を張っていたが、気が緩んで足取りが重くなったという感じだ。烏帽子小屋到着は15時37分、トータル所要時間9時間52分、ぎりぎり10時間を切ったというところ、まあ想定範囲、ロートルとしてはよくやったと言えるかな。烏帽子小屋は古い小屋だが、連休も終わって客が少なくゆったりできた。4人分のスペースに3人、個室のような感じ、2食付き9000円、ビールはやはり600円、よく冷えていて美味しい。船窪小屋は電気がないから仕方ないけど、ビールはやっぱり、きりっと冷えたのがいい。よく歩いたが大腿四頭筋ほか筋肉痛、明日が思いやられる。

7月23日 烏帽子小屋(6:30)~高瀬ダム(10:15)=扇沢=わっぱらの湯、清水そば=あずみ野IC=調布IC=矢野口駅解散

 今日は下りだけなのでゆっくり、ほとんどみんな出払ってから出発。小屋から主稜線に出たところでタクシー会社にTEL、高瀬ダムに迎えを頼む。ブナタテ尾根の急な下り、ダブルストックで体重を支えながらゆっくり下る。真ん中辺をすぎたころから、登りの登山者に出会う。3分の2以上下ったところで益崎が突然転倒、左手の薬指を負傷した。打撲かなと思ったが、帰って診てもらったら骨が折れていたということで、思わぬ大怪我だった。タクシーは11時に予約したのだがダム到着の10時15分には来ていた。扇沢まで8300円、わっぱらの湯は65歳以上250円、露天風呂はないがこれで十分、わっぱら屋は火曜休みのはずが水曜も休み、わっぱらの湯に置いてあったパンフレットを見て、常盤駅近くのおらほのそばという店に行ってみる。安曇野山手の道沿い清水交差点、店構えは一見安普請だが地元のおばちゃんたちがやっている店で味はなかなか、3人とも大盛り850円で満足。益崎の指が腫れてきたのでコンビニで熱冷まシートを買って冷やす。帰りの高速はおおむね順調、6時前に矢野口着、解散。
 北アルプスの縦走路で残されていた課題が解決、この次行くとしたらどこになるだろう。
ほかの山域ではまだまだ行きたいところがあるから、そちらになるのだろうか、でも北アは雪も岩も草花も、景色、展望、他にない魅力がある。齢をとっても、どこか狙いを変え、趣向を変えて、楽しみをみつけて行きたいものだ。益崎の怪我は気の毒だったが、高齢登山者の転倒による事故が多いようで、十分注意が必要だ。