0308北鎌尾根(貧乏沢より)

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参加者  木邨光宏   片岡ひとみ   伊東 毅

8月8日
府中本町駅(7:00)=国立府中IC(7:20)=豊科IC(9:50)=豊科駅(10:00)=中房温泉駐車場(11:1011:40)~
第2ベンチ(13:05)~第3ベンチ(13:45)~富士見ベンチ(14:30)~合戦小屋(15:05)~燕山荘(16:25)

台風10号が接近、雨模様の中を出発。山梨県内はかなりの雨だったが、長野県に入ると雨は上がり、多少の希望を持たせる。豊科駅で片岡嬢をピックアップ、中房温泉に向かう。駄目なら大町の山下邸で日待ちすることも考えたが、台風はまだ四国沖でまだ雨もたいしたことがないので合戦尾根を燕山荘まで上がって、小屋で待機することにした。川の増水に備え、温泉橋手前上流の駐車場に停めて出発。最初雨具をつけたが、ほとんど降ってないので脱いだ。ゆっくり休みながら合戦尾根を登り、順調に燕山荘着、稜線は比較的視界がよく、裏銀座の鷲羽や水晶の稜線や燕のピークも見えた。これから台風が来るので小屋泊まり、流石にすいているが、ゆっくりしたいので個室?と言ってもカイコだなだが、下の一角を占拠。ここは乾燥室も完備、室内も清潔、従業員の応対もいい。ふとんも乾いていて気分がいい小屋だ。衛星テレビで台風の動きをチェックしながら時を過ごす。夕食後はオーナーの赤沼健次氏のホルンの演奏会などもあり、なごやかな雰囲気だった。

8月9日
燕山荘(13:40)~大天井ヒュッテ(16:20)

台風は四国東部から大阪湾、西宮から琵琶湖、福井県から富山県というコース。東側にあたるが風・雨ともそれほどではない。朝、ツアーの団体が出発していったが、こちらは急がず、午後になって台風が富山県に入り、後面に入ったことを確認して大天井ヒュッテまで移動した。翌日からの晴天を有効に使うため、雨の中だが風はそれほどではなかった。今日も小屋、素泊まりにした。当然のことながらガラガラでほかに宿泊者は4人だけ、小さいが感じのいい小屋だった。

8月10日
大天井ヒュッテ(5:10)~貧乏沢入口(5:35)~雪渓(6:50)~中間の滝(7:10)~貧乏沢出合(8:35)~
北鎌沢出合(9:30~10:25)~ロープのある滝(12:30)~北鎌のコル(14:10~14:25)~天狗の腰掛幕営(16:10)

明ければ快晴、貧乏沢を下りる。最初はガラ場だが、踏み跡がはっきりしており、石も浮いていないので歩きやすい。中間点近くで雪渓が出たので、ピッケル(木邨)アイゼン(片岡)バイル(伊東)という道具で慎重に下る。中間点の滝を過ぎ、大体左岸沿いに踏み跡があるので、それを追うが結構時間がかかる。3時間半かかって天上沢へ、雨上がりで流石に水量が多い。去年はすぐ伏流になったのが北鎌沢まで、かなりの流れがある。北鎌沢の入り口で休んでいたら、突然茶色に濁った水が流れてきた。すわ鉄砲水かとあわてて装備をまとめ、高台に避難するが、それ以上増水することもなく、落ち着いてきたので北鎌沢の登行を開始する。二俣を過ぎると水の濁りはなくなった。左俣で雪渓でも崩れたのだろうか。右俣も水量が多く、結局コルのすぐ下まで水流があった。途中で水を背負って荷物が重くなり、真上からお日様に照らされて消耗する。コルまで3時間45分、予定より大分時間がかかった。我々のすぐ前に単独の登山者が見えたが、こちらのペースに合わせたようにゆっくり登っている。やはり大きな荷物を背負っていたのでピッチが上がらないのだろう。コルから上は木の根、岩の根を掴んでの急登、予定では何とか独標を越えたいところだったが到底無理。独標のコルと天狗の腰掛にテント場があるので、どちらかと思ったが、先を行く一人がどうも独標のコルに泊まりそうなので、こちらは天狗の腰掛の頂上に張ることにした。岩の間のちょっと狭いが平らなプラッツで安定感はいい。晩飯はトムヤムビーフンだが、このところ疲れると胃がムカムカして食欲がなくなることが多い。狭いテントの中にいると余計具合が良くないようで、外に出ていると少し良くなった。天気は下り坂で月に傘がかかり、夜半過ぎて雨が降り出した。

8月11日
天狗の腰掛(6:20)~独標コル上(6:50)~独標トラバース(7:15)~浮石の多いガリー(8:50)~P11(9:00)
~P13(11:15)~北鎌平(13:50)~大槍の登り(14:55)~槍ヶ岳(15:40)~肩の小屋(16:10)

起きた時はやんでいたが、すぐ小雨になり、独標もガスに巻かれるようになった。ラーメン食って出発。独標までの稜線で猿の群れに会う。ハイ松と岳樺の実を食べているようだ。独標のコルにはやはり幕営の跡があった。独標のトラバースの入り口、必要ないかと思ったが慣れるためもあり、ザイルを出した。続いて残置があるはずのチムニーにザイルがない。荷物が大きいので左のフェースを登るが濡れていて気分は良くない。ここは当然ザイル使用、片岡、木邨はチムニーを登った。登ったテラスから上に登れば独標だが、天気も悪いし、もたもたしてると槍を越えられなくなるかも知れないので今回もトラバースを続けた。一箇所斜めに下るトラバースでザイルを使い、下りたところから浮石の多いガリーを登って尾根に出る。左隣に独標の特徴ある丸い岩のピークが見え、その下の岩場を2人パーティーが登っていた。どうやら我々がいるのはP11、所謂ニセ独標らしい。このへんまではまだ視界も効いて様子が分かったが、だんだんガスが濃くなってくる。今回はなるべくトラバースせず、稜線を行くことにして、ピークを一つ一つ越えて行く。稜線上には何箇所かテント場があり泊まり場には困らないようだった。P13を越え、P14らしきところで、ここは捲いた方がいいと書いてあったなあと思いながら、越えて行くと急な懸垂が必要な岩場に出てしまった。ここで長崎から来たと言う3人パーティーが追いついて来たので先に下りてもらう。30mザイル(正味15m)で届いたので良かった。その先も岩のアップダウンが続く。P15らしいがピークがはっきりしない。千丈沢側をトラバースする踏み後に入って左上を見ると平らな稜線が見えたので大きな岩の重なり合った斜面を登ると丁度、そこが北鎌平だった。独標の次には北鎌平を通りたかったのでちょっと嬉しかった。ここには快適そうなテント場がいくつかあった。あとは大槍の登りだけだが荷物の重さが効いてきてばてばて、息があがって身体が上がらなくなった。大槍のチムニーは疲れるので避けて右の階段状のフェースを登ったが、最後のところでは腕力もなくなってしまい、木邨にトップを代わってもらうほどだった。槍を越え、肩に下りてさらに殺生まで下ろうかと思ったが、疲れが激しいので肩の小屋に泊まることにした。素泊りにしたら、ずいぶん奥まったところの古い棟に入れられた。ザックを置く所もないようなところで随分差別が激しい。客が少なかったので寝るスペースは確保出来たが二度と利用したくない小屋のひとつだ。夕食はICIのお勧め、きのこカレー、美味いが相変わらず胃の具合が悪く食欲がない。夜半雨と風が強まる。

8月12日
槍の肩(7:10)~ババ平(9:15)~槍沢ロッジ(9:45)~横尾(11:20~12:00)~上高地(15:00)=タクシー=中房温泉
=有明荘=そば番所=高根町浜野山荘

朝食は昼用のパンが大量に余っているので、紅茶とパンで済ます。外は霧雨、風が強い。予定では東鎌を中房まで戻ることにしていたが、この吹き降りの中を行くのは厳しいので槍沢を下ることにした。疲れが溜まっていて、このまま行っても大天井か燕山荘に泊まることになるし、上高地に下りてタクシーで中房に回れば金銭的には
同じようなものだろう。ババ平まで下りたら雨が上がり、日も射してきた。連日の雨で靴の防水が効かなくなり、靴の中がぐじゅぐじゅ、気分が悪い。横尾・徳沢・明神と平らな道で足の裏に豆が出来た。おまけに足が臭くてやりきれない。小梨平のキヤンプ場の水場で洗ってほっとした。上高地ターミナルのタクシーと交渉、「中房温泉までいくらで行く?」「メーターは2万3000円だけど、うーん1万5000円」ということで商談成立。最低2万円かなと思っていたので助かった。ただ、これから帰ると東京から仙台に帰る便がないということで、高根町の浜野山荘と大町の山下邸のどちらかに泊まるべく連絡。山下氏は帰宅が遅くなるということだったが、浜野さんは山荘滞在中ということなので、そちらに向かうことにした。中房でRAV4を回収、有明荘で温泉、ここは空いていていい。安曇野蕎麦屋を探したが時間が遅く、どこも既に閉店、ようやく豊科の番所が開いていたので、蕎麦を一杯食べて、豊科ICから高速高根町の浜野山荘には8時45分ころ到着した。

8月13日
帰京

浜野夫妻と奥様の妹さん夫妻はゴルフで早朝出発。残った3人でゆっくり朝食をご馳走になって、ゆっくり帰京した。台風と悪天で予定が大幅に狂ったが何とか北鎌尾根を踏破出来たのは良かった。今回も独標は登り損ねたが、ほぼ稜線通しトレース出来た。こちらの方が岩稜らしくて面白い。一方でいろいろ課題も残った。まず荷物が重すぎたこと、水を入れて23kgは重過ぎる。軽量化に真剣に取り組む必要がある。荷物の重さもあってピッチが上がらず、時間がかかった。そしてこれまでになく疲れた。疲れると胃の具合が悪くなり、飯が食えなくなるのも問題。夜十分眠れないのも問題だ。最近は山に入ると寝付かれずにほとんど一晩中起きていることが多い。一晩くらいならともかく、3日も続くとこたえてくる。これも何とか対策が必要だ。中高年であることをもっと自覚すべきかな。