奥多摩逆川遡行

奥多摩逆川

 

1962年4月

 

参加者   島田富夫  伊東 毅

 

4月14日

新宿発(6:20)=立川(6:50~7:18)=氷川(8:45~8:50)=川乗橋~逆川出合(10:05)~大ダワ沢上昼食(11:25~11:45)~ウスバ林道(12:00)~大滝下(12:55~13:00)~川乗山(13:50~14:10)~鳩ノ巣(15:20~15:26)=新宿(17:25)

 

 昨夜急に思い立って、島田を誘う。こういう時にもちゃんと付き合ってくれるのは島田しかいない。部の許可をとる暇がなかったのは心残りだったが。

 電車は混んでいたが座れた。氷川から川乗行きのバス、久しぶりの奥多摩、人が多い。逆川へ入ったのは我々のほか1パーティー。最初の3m、7mの2段の滝は釜が大きく、右をへずるというのだが、かぶっている上、濡れていてホールドも細かい。姿勢が悪くなって、下の窯が気になり、結局やめてしまった。水際まで取り付ければ後はなんでもないのだが、岩も久しぶりだし、初めから無理をしたくないので、しゃくだけど引き下がる。まき道は右だが左のへずりから、大したことなく上に出て、上段は平凡だった。その上は明るくなって、石がごろごろしていて、まったくつまらない。少しがっかりしながら登っていく。ところどころ、いやなところもあって、例のパーティーはザイルを出していた。

 大ダワ沢をすぎたところで、ちょっとした滝があったが、それを越して昼飯にした。食パンはうまくない、やっぱり、おにぎりがいい。その上も、しばらく大したことのない滝場が続く。3段15mの滝は、上の方はバックアンドフットでずり上がった。次の滝は釜のため、登れない。こういうのは全くしゃくだけど、しかたがない。その次に現れた10mの滝、例のパーティーは高捲いていたが、どうも悔しいので、よくよく見たら登れそうだ。湿っぽいけどやってみるかと取り付いた。下の方はホールドが少ないが傾斜があって助かる。上部は部分的に垂直だが、ホールド、スタンス豊富で楽に登りきれた。少し緊張したけれど、結局高いだけのものだ。島田も続いて登る。

 滝のすぐ上にウスバ林道の橋がかかっている。さらに遡行を続けると8mの滝、右を登るが快適である。ようやく滝を登っている感じになってきた。2mを2つ越して二股に出る。右に入ってすぐ、ちょっとしたのがあるが、傾斜があり、ゆっくりと越す。その上が大滝20m、それほどの威圧感はない。さっきの10mの方が水も多く、こわい感じだった。水無の大滝とは比較にならない。右を登る、別に苦しいところもない、さして緊張感を味わわず、上に出てしまった。ここらは岩にも慣れて余裕がある。結局、これが最後だったが、勘七のF5の細かさはなかった。でも久しぶりに岩に親しみ、なかなか楽しかった。もう少し難しくなると、ザイルを使うことになる。やっぱりザイルを使う岩登りをやりたい。

 水が乏しくなり、そして消えた沢を登り続けるが意外に長い。いいかげん、業を煮やしたというか、足もくたびれてきたので、適当に左側の尾根のようなところに入って行く。藪をかき分けて、稜線の踏み跡に出る。あとはそれを辿って山頂へ。川乗山の頂上はひどい人の数だった。なかにはスカートの人もいた。それにしても大変な山だ、これだけの人が、まったく言う言葉もない。

 下りはやや速いピッチだが、足の調子が二人ともよくない。トレーニング不足だな。まとめとしては岩に親しめたことが嬉しかった。自分の技術がどの程度なのか分からないが、無理を感ずるようなところはなかった。沢登りは面白い、日帰りでは沢くらいかと思う。