三ッ峠

1962年10月

 

参加者   藤原国生  伊東 毅

 

10月19日

新宿発(23:45)=三ツ峠駅(3:00)~ダルマ石(3:45~3:55)~白雲荘(5:20~7:30)~屏風岩右フェース取り付き(8:15)~白雲荘昼食(12:00~13:30)~終了(16:00)~白雲荘(16:50)~三ツ峠駅(18:25~18:42)=大月=新宿(21:00)

 

 1年生だけの岩登り、一応リーダーなので、出発前後大分緊張した。三ツ峠の駅で降りた時、この前ほど寒くなかった。下弦の月に照らされてリヒトが要らない。ゆっくり登ったので3ピッチ近くかかったが、この前よりは速い。夜が長くなって、白雲荘に着いても、まだ明けない。中に入って、いろりにあたり、お茶を飲んで、少し眠ることにする。こたつにもぐりこんで、ひと休み、7時半に起きて朝飯。登攀用具を取り出して準備、岩場に向かう。

 基部到着8時、アンザイレンして一般ルート右をトップで登る。この前登って慣れているのですんなり、ピンは利用せず第一バンドに出る。続いて藤原、まずはウオーミングアップ、今度はアプザイレンで降りて、上で確保してもらって左ルートを登る。まだ体が固くてシニシニだった。やっぱり悪い。続いて藤原も左を登る。この上はサンドイッチを軽く上がって、その上のバンドを伝って第一クラックの上に出る。木の根を利用して捨て縄をかけ、アプザイレンでクラックを下りる。上から確保してもらって、このクラックを登る。取り付きから1~2mが細かい。クラックは肘を突っ張って登るところなど面白い。テラスに立って、その上はまずまずだが、出口が少し悪く感じた。藤原も同じことをやるが、取り付きで引っかかって、ぶら下がったりしたようだ。

 その上は楽なピッチで、19番クラックを登る。左から取り付くと、最初フェースで面白いが、その上は簡単。天狗の踊り場に出て、藤原に確保してもらって19番をクライムダウン、20番クラックは少し細かいが、上の方は快適なクラック。半身だけ入るので背中と右手足で突っ張って、ずり上がる。身体が半分出るので苦しいが、ずり上がりを繰り返して登り切った。次は踊り場直下の小さな5~6mのフェースを登ってみる。とにかく細かいところ、傾斜は75°か80°くらいか、まず藤原、もちろん上からジッヘルして。藤原は延々苦戦、20分ばかり、かかって、ようやく岩の上に顔を出した。続いて伊東が交代、なるほど細かい、しかし面白い。1~2cmほどのホールド、ビブラムの先が辛うじて乗る。バランスをとって割り合いすんなり登れた。固いので快適な岩だ。しかし、トップで登る自信はない。これで午前の部は終了、頂上に向かう。富士がよく見える。白く雪を冠って、何とも秀麗。いい天気で南アも見える。白雲荘に戻り昼食、藤原のBirthday、持ってきたケーキを切って食べる。

   午後の部、今度は地蔵をやろう、登山道からルートを見る。悪そうだ、それでも上からジッヘルしてもらって、やってみる。右を藤原トップで登り、2人上がって、アプザイレンで伊東一人下り、地蔵の上からザイルを下ろし、アンザイレンして取り付く。いきなり悪い、ハングしている上、ホールドが乏しく、細かい。ハングを抱え込んでしまってシニシニになったが、なんとかこれを抜けて上に出る。依然細かく悪い、今までで一番細かい。それでも慎重に登って第1のテラスに着く。ホッとする間もなく、続いてまた悪いフェース、細かいバランスクライムが続く。第2のテラスの上は吊り上げとか、しかし、それ迄はなく、細かいフェースを登って、何とかかんとか、ついに登り切った。とにかく悪かった。スリップの可能性は大分あったろう、もう少し余裕を持って登らないといかん。

 藤原はやめ、その上は十字、ここもやっぱり悪い。ハーケンを4ヶ所使った。ザイルを通したのは3ヶ所、古いハーケンがあるのだが、練習の意味で新しく打った。十字の上はやさしいルートをとり、19番を登って終了。ガスもかかって、湿っぽくなってきた。白雲荘に戻り、またパッキングして、さあ、お帰りだ。とにかくホッとした、何もなくて。精神的にことにバテた。今回はよく動いた、いろいろ登れて楽しかったし、収穫も多かった。岩登りは楽しい、またバテる。いいトレーニングになった。